犬連れ結婚【コーギーのジョニー君】
わたしの家には10年前から相棒がいる。結婚するよりもっと前、一人暮らしのときに引き取った犬で、今まで5回の引越しを共に経験してきた。
まさに愛犬、というより人生の相棒という感が強いのだが、結婚する前には酷くナーバスになり、このまま犬が亡くなるまで結婚できないんじゃないかと考え込んだ時期もあった。
わたしにとって犬は、どちらかというと怖くて、実家も祖父母も親族ほとんど猫を飼っている一家に生まれ育っただけに成人するまで縁のない生物だった。そして、今も思うが、この相棒が亡くなったらもう二度と犬を飼うことはないだろう。
だが、それは犬が嫌いだからではない、逆に人生の三分の一を一緒に歩んできた今の「相棒」への思い入れが強すぎるからだ。
我が家の犬はコーギー犬のオス。元はペットショップで一年近く売れ残っていたコだった。
その店で働いていた親友が、なかなか売れない犬に愛着を持ってしまい引き取ったのだったが、2年後にご主人が転職した挙句、海外転勤となり飼いきれないかも知れないから預かれないか、と相談されたのが始まりだった。
ペットショップで働いていただけに、海外転勤が決まったとき知人は真っ先に里親探しをしたのだが、これがまた引き取り手がなかなか見つからない。コーギー3歳オス、どうやら人気がまったくなかったようだ。
(こんなに可愛いのに、って自分で思ってそうな顔www)
親友がわたしに相談してきたのは、ペット可マンションに住んでいた、猫が欲しくて飼おうかなと相談したことがあった(なんか動物飼いたいヤツって認識されたんだろう)、そしてよく親友の家へ遊びに行っており、何故か犬に懐かれていた(犬は苦手なのに…)、さらに親友夫婦が旅行などで家を空けるときに散歩などの面倒をみていた、(犬は苦手なのにバイト代目当てw)などなどたくさんの理由があったのだが、それでも引き取るのはなぁと乗り気ではなかった。
なんせ、わたしも一人暮らし。留守にするときはどーするんだ!?とか懸念材料ばかりだったのだが、『里親探しを続けてほしい』という親友の意思があったので、『じゃあ見つかるまでの間ね』と預かることを決めた。
あれから7年。
親友は未だ海外にいて、里親探しを断念したわたしの家には未だコーギーオスが転がっている。それだけではない、わたしのほうは自分の転勤で引越しを4回し、さらに結婚で引越し。合計5回もの引越しに犬を付き合わせている。
毎度、ペット可マンションを探し、ブーブー文句を言いながら犬連れで人生を過ごしている。親友は年に1〜2回帰国して、犬に会うたび「あぁ、やっぱり貴女に任せて良かった!」と感謝してくれるが、わたしの人生は大きく変わったぞ、と思ったりもする。
まぁ、わたし自身も犬飼いに慣れてきたし、最初の三年間できちんと躾をしてくれたこと+共働き家庭で留守番に慣れている犬だったため、なんとか一人暮らしでもやってこれたのかなと思う。
自分が海外旅行へ行くときはペットシッターにお任せしたり、ペットホテルへ預けたりしている。
これも、だんだん犬の年齢が老齢に近づくにつれ難しくはなってくるだろうが、個人的な願いとしてはその頃には子供でも生まれて海外旅行自体が難しくなっていて欲しいしな、と折り合いをつけている。
時々、まったくハマっていないのに膝の上に乗っかって眠るのが好きなジョニー君。ほとんど顔しか乗せられなくて長い胴体がわたしの身体からはみ出しているんだけど落ち着いちゃってる。これ、飼い主は重たくて足が痺れるのだよ…笑
飼い主のわたしが言うのもなんだが、こいつはなかなかイイヤツで、人に預けてもなんの問題もなく毎度ご機嫌良く帰ってくる。誰が散歩に行っても嬉しそうに歩くし、結構人懐こいわりにそれほどメチャクチャな甘えんぼうでもない。
ただ、ペットホテルに預けると他のコが散歩行くときに自分はもう終わっているのに「え、オレはまだ?オレは?オレは?」みたいな顔をしてくるらしい(笑)
いつも、飼い主と犬、一対一でいると分からない話だから面白い。
一番、問題だったのは結婚したときだった。一人暮らしでずっとわたし&犬の生活だった相棒が、他の人と生活できるのか、懐くのか、とても気になった。
結婚前にはとてもナーバスになって、犬のために夫の望む住環境を与えられないのではないか、お互いがストレスになってしまわないか、色々考えてしんどかった。
でも、わたしが想像している以上に夫もイイヤツで、犬もイイヤツだった(笑)
最初、一緒に住む前に何度も夫を連れて犬と散歩に行った。夫は実家で小型犬を飼っているが、コーギーは小型犬の域を超えているので最初はとにかくそのデカさに驚いていた。
散歩は夫にリードを持ってもらい、あまり何も言わず好きなように散歩してもらった。わたしと一緒に住む、結婚するということは、犬の飼い主になるということ。毎日一緒に暮らすためには、「こうやって」「ああやって」とわたしが言うより、夫なりの接し方で一緒にいたほうが良いと思ったからだ。
そして、夫にはこう言っていた。
「犬は絶対的にわたしが好き。だって8年近く一緒にいるんだもん。あなたより長い時間そばにいるんだから、あんまり懐かなくても当然だよ。その代わり、基本的な面倒はわたしが全部みるからね。」
でも、夫は思いのほか犬の扱いが上手で、そして犬も思いのほか夫が好きになったみたいだ。
今では、わたしが仕事で夫が休みという日、必ず二人(?)してリビングで長々と寝そべっている。
最初から二人で飼い始めて明らかにわたしにしか懐かないよりも、最初からわたしに懐いていて、あとから夫が入ってきた今みたいな暮らしのほうが案外、お互いに割り切れるから良いのかもしれない。
わたしと夫が両方同時に犬を呼ぶと、犬は必ずわたしのほうへやってくる。それは当たり前、だってわたしとの時間の方が明らかに長いのだから。
でも、夫との間にも絆が出来ているようで、夫の前で安心しきった寝顔を見せる犬を眺めていると、わたしはこの上ない幸せを感じる。
そして、紆余曲折ありながら、健康で夫との信頼関係も築いてくれている相棒に感謝の気持ちが溢れ出てくる。
頑張ってるよな、相棒。
いつもありがとう。
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